インヴェガからエビリファイへの変薬

薬局でもらった処方内容の紙
処方内容

精神科の薬の変薬

過酷な2ヶ月だった。と言うのも、私は11月の始めに主治医に変薬を提案し、今までの治療のメインとなっていた抗精神病薬をまったく別の系統の薬に変えたのだ。この『変薬』という作業が、かなりの長期戦であり、過酷だった。

統合失調症に使う薬を『抗精神病薬』という。一方、気分障害に使う系統の薬は『向精神薬』と言う。で、これら精神科で処方されるような類の薬というのは、継続して服薬する事が前提の薬であって、もし急に服用をやめたりしてしまうと『退薬症状(退薬症候とも)』というかなり苦しい症状に襲われるというのが常なのだ。これは、今回の私のように『変薬』を行う場合も同様で、変薬時であっても、退薬症状を回避する為に脳を徐々に徐々に新しい薬へ慣らす、または脳の古い薬への依存を徐々に徐々に減らす、という作業が必要になってくる。

私の元々の処方

私の元々の処方は以下のようなものであった。(ジェネリック医薬品の場合は混乱を回避するために先発品の名に変えた)

インヴェガ 6mg
マイスリー 5mg

統合失調症の治療としては異様にシンプルな処方なのだが、ここに辿り着くまでの話は長くなるので割愛する事にする。

この処方はとても私に合っていて、副作用も少なく、私のここ数年の回復を確実に支えてくれていた。ただ、副作用としての肥満が慢性化してしまって、どこをどうやっても痩せないような体になってしまったので、主治医と相談の上、思い切ってこのインヴェガをエビリファイに変薬する、という事になったのだ。

変薬の第一段階

で、始まった変薬の、まず最初の段階がこれ。

インヴェガ 3mg(-3mg)
エビリファイ 3mg(+3mg)
マイスリー 5mg

エビリファイは最終的に6mgになる予定で進めている。インヴェガ6mgとエビリファイ6mgは等価と考えていいみたいだ。

で、この状態が2週間続く。その間、うまく説明出来ないような微妙な違和感が色々出現した。そして次…

変薬の第二段階

インヴェガ 3mg
エビリファイ 4mg(+1mg)
マイスリー 5mg

エビリファイが微増。そしてさらに1週間後…

変薬の第三段階

インヴェガ 3mg
エビリファイ 5mg(+1mg)
マイスリー 5mg

またもエビリファイが微増。

この頃、とても強烈な眠気に襲われていたのだが、主治医曰く「その眠気が来た時がインヴェガを切るタイミングだ!」との事。

変薬の最終段階

いよいよ最終段階が来た。やっとインヴェガが無くなり、エビリファイ一本に!!

インヴェガ 0mg(-3mg)
エビリファイ 6mg(+1mg)
マイスリー 5mg

つまり、最終的には…

エビリファイ 6mg
マイスリー 5mg

という、元の処方に引け劣らないぐらいシンプルな処方へ着地する事が出来たという訳だ。

ここから本格化する退薬症状

だが、ここからが本当の苦しみの始まりだった。インヴェガがなくなってみて初めて本格的な『退薬症状』に襲われたのだ。具体的にどのような症状が出たのかはあえて書かないが、普通の人に話したらドン引きされるくらいの精神症状が現れ、過酷な日々を過ごす事となった。

主治医とも相談したが、とりあえずは脳が新たな薬の環境に慣れるまで『様子見』という事になり、私は2週間ほど頑張って耐えた。

するとどうだろう。徐々に不調は収束して行き、2週間後には元の元気な自分に戻っていた。人間の脳の柔軟性には驚かされる。この柔軟性もまた、人に備わった治癒力のうちの一つと考えてみても良いのかもしれないと思った。

その後

今の私は、この2ヶ月の苦しみが嘘のように、変薬前と同じくらい元気な状態に回復する事ができた。年を越す前に治ってよかったと心底安堵している。

今回の変薬で、主治医の先生がここまで慎重に事を運んだにも関わらず退薬症状が出てしまったというのは、もう運が悪かったと諦めるより仕方がないようにも思う。この変薬について薬剤師のお姉さんにも聞いてみたのだが「この先生はとても丁寧にやっておられると思います」と言っていた。

とにかく、せっかく処方をエビリファイに切り替えたのだから、今後はこの慢性化した肥満を改善する為にいろいろやって行こうと思っている。(今までもそれなりに頑張ってはいたのだが…)

以上、私の変薬の記録でした。