私の長門志気という名前はネット上のハンドルネームだ。なので本名ではないという事をあらかじめ断っておかなければならない。
で、実は長門志気という名前での活動と、本名を使った個人的(プライベート)な活動を、私は明確に使い分けていたりする。というのも、私はリアル世界では自身の病気と障害者であるという事実を隠して暮らしており、唯一ネット上でだけ障害をオープンにしている、という事情があったりするからだ。長門志気という名前は、統合失調症というスティグマ(負の烙印)を自分に代わって背負う、言わば身代わりのような役割を果たしている。精神障害者であるという事実は、リアル世界では明らかな差別を伴う事から、病気の話題は、ネット上でしか本音で話す事ができないというのが現状だ。
ネット上での活動で問題になるのは『身バレ』である。特に問題なのはSNSなどの登録時、登録してある電話帳機能から、友人などに対して『知り合いではありませんか?』などとオススメ表示されてしまうという危険性がある事だ。本人確認に電話番号でショートメッセージを受け取ったりすると、電話番号がサービス事業者に渡り、そこからリアル世界での繋がりが暴かれてしまう。これはまずい。
ネットの匿名性というのは良い面と悪い面があり、意見が分かれるところだと思う。ただ、私のように病気を隠す必要があるといった場合には、ネットの匿名性というのはとても重要になってくる。精神障害者であるという事は負の烙印であるスティグマを伴う。それは現実生活で多大な不利益を被りうるという意味で、無視できないリスクとなるのだ。障害のあるなしで差別される事のない社会ならば本名ででも活動できるのかもしれないが、残念ながら現実世界はそうはなってはいない。なので自衛は必要になる。
身バレを防ぐ最強の方法はスマホを2台持つ事である。これは複数のアカウントを使い分ける以上に重要な事だ。SNSに登録する時に、電話番号も、メールアドレスも、使用端末も違うという事になれば、サービス事業者にとってそれはもやは別人という扱いになるだろう。サービス事業者と余程厳密な契約を取り交わさない限りは、これで身バレは防げる。
それに、別にサービス事業者に個人情報が知られるという事は本来は問題のない事なのだ。本当に問題なのは、その情報を使って勝手に他の利用者とマッチングさせようとする、お節介機能の方なのである。私は身分を偽装する犯罪者ではない。病気や障害の事をネットで発信したいだけなのだ。でも、ただそれだけの事が、意外と難しい。生き辛い世の中である。
2台持ちをする上では、やはりMVNO事業者の格安SIMが便利になる。私はDMM mobileを使わせてもらっている。iPhone・iPad・モバイルルータの計3台が、全部コミコミで月3000円ほどなので、とてもありがたい。
そして、2台目として使っているiPhoneも、中古で買ったものなので安く済んでいる。中古のスマホを嫌がる人もいるかもしれないが、私は中古をオススメしたい。綺麗だし、性能も悪くないし、安いし、契約上の縛り(2年縛りとか4年縛りみたいなやつ)もない。『2台目として』とか『間に合わせで』とかで使うなら全然アリだと思う。
こういった準備をし、匿名性を維持できるなら、ネットは安全だ。今やGoogleアカウントもAppleアカウントもブログのアカウントも、ネット上のアカウントは全て2つ用意しているし、それを使い分けて利用している。それによって私は、長門志気というハンドルネームに守られている訳なのだ。ハンドルネームが私の身代わりになってくれる。だから精神病というネガティブなテーマであっても安心して情報発信が出来る。これはそういった工夫があるからこそできる事なのだ。