マイスリーの断薬は、反跳性不眠が大変だけど、頑張れば可能。

私は10年以上マイスリーを欠かさず飲み続けてきたし、昨年は断薬に挑戦し、薬なしで3ヶ月過ごす事もできた。なので私にはマイスリーの断薬が可能だとハッキリ言える。ただし、訳あって今はまたマイスリーの服薬を再開して暮らしている。その訳というのも本項で話そうと思う。

マイスリー(ゾルピデム)

マイスリーは睡眠導入剤という薬で、超短時間型に分類される、副作用の少ない薬である。マイスリーは飲んで20分くらいですぐに効き始め、その効果が2・3時間続く。薬の効果は数時間で消えてしまう事からも分かる通り、マイスリーはあくまで入眠までをサポートする薬だ。だから入眠後から朝にかけての睡眠は自力で寝てるという事になるだろうか。これが『導入剤』と呼ばれる理由であり、『超短時間型』に分類される理由である。

マイスリーの負の側面

ベンゾジアゼピン系に分類される薬は、やめるのがとても困難である。マイスリーは非ベンゾジアゼピン系に分類される薬で、『非』の文字からベンゾジアゼピンではない薬の様な印象を受けてしまうかもしれないが、大まかな括りで言えばマイスリーは紛れもなくベンゾジアゼピン系の薬である。というのも、薬の成分としてはベンゾジアゼピン骨格を持っていないので確かに非ベンゾという事になるのだが、薬の効き方としてベンゾジアゼピン受容体に作用する構造なので、薬の持つ特性はベンゾも非ベンゾもほぼほぼ同等と考えてよい。

マイスリーをやめる

マイスリー断薬で生じる離脱症状は『不眠のみ』だと言っていい。これを『反跳性不眠』と言い、これはベンゾジアゼピン系の薬を代表する『退薬症状』の一つである。この不眠は10日くらい続くので、心身ともにかなり疲労する。でも、逆を言えば不眠以外の不愉快な離脱症状が出ないのであれば、正しい知識を持って立ち向かう事も可能という事だ。

反跳性不眠は10日で消える

薬の退薬症状を考える上で、基準となる経過日数がある。それは3日、7日、10日、3週間、3か月、である。精神科の薬の退薬症状というのは、薬をやめた事で脳がビックリして起こる症状だ。で、その脳は薬のない新たな環境に適応しよう頑張る訳だが、その活動の節目となるのが上述の3日、7日、10日……というポイントなのである。マイスリー断薬の場合、私の経験では10日程度で反跳性不眠が見られなくなったので、10日というのは目安になるだろうと思う。

不眠を耐え抜く

ハッキリ言って、この反跳性不眠の期間を仕事(社会活動)などをしながらこなすのは不可能だ。この時期は一睡もできないという事も多い。この『寝れない!』という状態は、実際には言葉では言い表せないくらいの苦痛が伴う。なのでマイスリーの断薬期間は、ただひたすら家でじっと大人しくしているという事に尽きる。反跳性不眠が永久に続くという事はないし、必ず治る。なので「この時期さえ耐え抜けば良いんだ」「これも期間限定の事だ」と割り切って、辛抱強く耐えるしかない。

そもそも離脱が出ないやめ方をする

マイスリーの反跳性不眠は手強い。なので、そもそも離脱症状が出ない様なやめ方をしたほうがいい。先述の通り、離脱症状というのは脳がビックリして起きる症状なのである。なのでマイスリーの断薬においては、脳がビックリしない様に薬を少しづつ減らしていくとか、飲まない日を少しづつ増やしていくなどの『漸減法(ぜんげんほう)』を実行すると良いだろうと思う。漸減法についての情報はネット上にもたくさん上がっているので参考にしてほしい。

そもそも完全断薬する必要はあるのか

マイスリーの断薬を実行しようとする人は「このまま薬を飲み続けていていいんだろうか?」という様な不安を抱えていると思う。で、いざ断薬が成功すると、今度は『今まで頼っていた薬がない事に対する不安』が大きくなり、結局服薬を再開する人が多い。

ここで重要になるのが薬との付き合い方だ。別にマイスリーと完全に縁を切る必要はないのではないだろうか。『頓服』として、困った時に時々使う程度の付き合いならば、別に良いのではないだろうか。巷の薬局に行けば睡眠改善薬を買う事も出来るだろうが、睡眠改善薬は高い。3日分で千円くらいしてしまう。

でもマイスリーならば医師から処方してもらう薬なので、医師の指導のもとの服薬であるならリスクは低く、保険が効くので値段も安い。これは悪い選択ではないと思う。なので安易な断薬は選択せず、今一度マイスリーとの付き合い方をじっくり考えてみる事をオススメしたい。

そもそもの不眠の原因が解決してなかったら?

これが冒頭に述べた、私が服薬を再開した訳である。私も反跳性不眠から回復した当初は断薬成功を喜んだ。とても理想的な睡眠を取り戻せたからだ。でも、私の不眠は統合失調症に由来する不眠であったので、元の病気が治っていなかった所為で、しばらくすると反跳性不眠とは別の、私の元々の不眠が現れる様になってしまった。それに根負けする形で、私は服薬を再開する事になった。

眠剤を断薬したからといって全てが解決するという訳ではない。そもそもなぜ自分が不眠になったのか、なぜこの薬を飲む様になったのか、そういった問題の根本をよくよく考える必要があるだろう。