究極的な税のあり方

今回の議題は『税の在り方』について。私自身、今年初めて確定申告というものをしてみて、初めて税の複雑さを知った。世の中のありとあらゆるものに税金は掛けられ、それぞれにルールと算出方法がある。全くもって複雑極まりないシステムだと思う。今回はそれを是正する案をこれから示す。

私の案は単純明快である。それは消費税を100%へ上げて、その代わり他の一切の税金制度を廃止するというものだ。要は消費税への一本化である。一見無茶苦茶なようだが、単純に100円の物が200円になり、10万円の物が20万円になる、それだけの事だ。

現在日本の国家予算という物は100兆円に迫る水準で推移している。一方消費税が5%だった頃の税収というのは50兆円前後。その内消費税収が占める金額は10兆円程度である。仮に消費税を100%へ上げると200兆円の消費税収であるが、現実にはおそらく個人消費は大打撃を受け半分ぐらいになるだろうと思う。しかし半分でも100兆円で国家予算を優に賄える。これでもう借金をせずに国家を運営できるようになる。祝・無借金経営!

しかし消費税が極端に上がるという事は、経済へ大打撃を与え、消費は低迷し、悪くすると経済が破綻するかもしれない、と普通は考えるものである。しかしよく考えて欲しい。消費税以外の税が全て廃止された世界の事を。

ここで大雑把にメリットを羅列する事にする。まず住民税などが一切掛からなくなるので、単純に考えても給料が10%(道府県民税と市町村民税の分)増える。家を持っている人は固定資産税が不要になる。車を持っている人は自動車税・自動車重量税も不要になる。その他にも銀行の金利や投資などで得た利益に対する税20%ほどが掛からなくなる。更に相続税や贈与税も不要になる。細かいところを言えば、ガソリンやタバコ、酒税やゴルフ場利用税なども無くなる。

どうであろうか。身の回りのありとあらゆる税金を廃止する事で、例え消費税がべらぼうに上がったとしても十分生活していけるのではないだろうか。

一方企業にとってはどうであろうか。物やサービスが高い消費税で売れなくなれば、企業は成り立たなくなる筈だが、ここにも解決策はある。実は日本の法人税は実に23.9%も課せられている。国家が無借金経営で運営可能ならば、法人税も不要になる。そうなると消費増税で業績が下がったとしても、おおよそマイナス24%までの経営赤字なら、不要な法人税が浮いた分で経営は無傷の状態で済むのである。

次に議題にしたいのは『税務署の仕事』についてだ。世の中の税金が消費税に一本化される事で、税務署の仕事は大幅に楽になる。ほとんどの仕事は企業や商店に帳簿という形で任せられるようになり、確定申告を初めとする面倒な手続き、確認作業や申告漏れの審査などの厄介な仕事が大幅に減る。税務署の仕事がミニマムになれば、今までの様に税務署の維持に莫大な予算を掛けずに済むだろう。

それから税金の取りっぱぐれが無くなるというメリットもある。脱税が無くなるのは勿論だが、それ以外にも個人商店などは結構な金額をちょろまかしているのも事実で、そういう所から正しく税金を徴収できれば税の公平を帰する事が出来るし、そうなれば消費税は100%よりも少ない税率で済む様になるかもしれない。

更に次に議題にしたいのは『税の公平性』である。税金には控除というシステムがあり、世の中のかなり多くの人がこの控除のおかげで納税せずに暮らす事ができている。この控除というシステムの基本理念は『税金は金持ちから取れ』という考え(勿論少額の税を徴収する手間を省くという意味もある)なのだが、よく考えるとこれ、本当に公平だと言えるだろうか。

国民が国に対して負んぶに抱っこというのは如何な物だろうか。これからは格差がもっと広がる事が予想される。このままの制度では納税せずに暮らす事のできる人が多数派を占める様になるだろう。そうなった時、真面目に働いて納税している人からみれば、自分だけ納税しているのがバカらしく感じる様になるのではないだろうか。

その点消費税ならば、皆が必ず平等に税を負担できる。ホームレスの人ですらパンを買う時、普通の人と対等に税を負担する事ができる。更にこの消費税という税は、言わば従量課金制なのである。使った人が使った分だけ税を支払うのだ。金持ちは金持ちの生活を維持する為に多くのお金を使うだろう。一方貧乏な人は僅かなお金しか使わないであろう。贅沢をする人は税金を多く支払い、質素に暮らす人は僅かな税金で済む。これは先述の『税金は金持ちから取れ』という考え方と矛盾しない。

最後に『外国企業』について少し話しておこう。法人税が無くなると、日本は所謂タックスヘイブンの様な国になる。外国系企業が安い税金を求めて、日本へ多く進出してくる事になるだろう。それについてデメリットはあまり見当たらない。これは多くの雇用を生み、日本の国際化を大きく進める事になるだろうし、日本に多くの資金が流れて経済は潤うだろう。

税を消費税に一本化する事のメリットはお分りいただけただろうか。税制の処理体系として、実にシンプルな実装であり、おそらく実現はしないであろうが、私はこれこそが究極の税の在り方だと思っている。

物の値段が2倍に上がる事について、皆は拒否反応を示すかもしれないが、私はそうは思わない。大量生産・大量消費の時代、なんでもどんどん捨てる時代。私は現代を生きる人々の物的感覚の方が異常だと思う。地球環境の事を考えた時、少ない物で済むならば、それはなるだけ少なくすべきである。それで経済が回らなくなってしまっては困るが、少なくとも今回の私の提言はそうではない。物を大量に消費せず、且つ企業と人々の生活が成り立つのなら、私はその方が良いと思う。