実は私はこの12月で発病してからちょうど19年になる。私はこれまで病気の事だけを考えて生きてきた。そしてこの間に自分の病的な要素をことごとく制圧し、それまでの病苦を過去のモノにした。そして今がある。闘病初期の頃を思うと本当に奇跡的だ! だが最後に残った課題が『社会参加』だった…
社会参加ってどうすればいいんだろう。社会に私の居場所などある筈がない。そもそも私が生きている事を知っている人間がいない。ここ何年かを考えても、私的な会話を交わした人間は両の手に収まる程しかいない。こんな事ってあるだろうか。長い闘病生活の間にあらゆる縁が消滅し、完全に孤立している。
薬が減って私は本来の人間の感覚を取り戻した。今まではあらゆるもに靄がかかっており、何を見ても陰鬱な感じしか受けなかった。それがどうだ。今では陽の光や街並みが子供の頃に感じたモノのまま変わらず広がっているのが分かる。病気でない人達はこんな素晴らしい世界で暮らしていたのかと驚愕する。
だが社会参加にあたってそこに一つの問題が生じる。私が今まで生きてきた地獄の様な世界はなんだったのだろう。世間の人達は私がそんな世界に生きていた事なんて分からないだろうし、分かる筈もない。そういう幸せな人達と、私はどうやって付き合っていったら良いのか。その溝が私の社会参加を妨げる…
この私の19年はなんだったのだろうか。長い闘病生活の所為で完全に異世界人の様な人間が誕生してしまった。私はこれからどうすりゃいいんだ… でも、ようやく私は悪夢から目覚めたのかもしれない。長かった。いつ死んでてもおかしくなかった。でももういいんだ。ここがゴールで、スタートなんだ。
19年か… 長いな…