当事者が当事者の為に答える統合失調症Q&A

同じ病気で苦しむ当事者の為に…
そして、これは過去の自分に対する回答集でもあります。


Q. 統合失調症は治らない病気なんですか?

A. いえ、治ります。一言に統合失調症といっても、症状の重い人と軽い人では病気の進行具合がかなり違います。そして予後(病気の経過)についても人それぞれかなりの開きがあるのです。だから『統合失調症になったから終わりだ』と単純な判断はしないでください。多くの人は寛解できるし、寛解を目指す事ができる範囲にいる筈です。治癒は難しいですが寛解は手の届く範囲にありますよ!


Q. 睡眠が昼夜逆転してしまうのですが…

A. これはこの病気になれば皆が経験する事です。べつに夜起きている事について罪悪感を感じる必要はありません。この病気の人にとって昼の時間というのは負荷が大き過ぎる時間帯なのです。世間は慌ただしいし、他人と遭遇する可能性も高い。だからこの病気になると無意識のうちにその時間を避けようとします。その結果、夜起きてるだけなのです。夜を楽しみましょう。


Q. どんどん太っていくのですが…

A. これは大抵の場合、処方されている薬の所為です。ですが薬は必要だから出ている訳で削る訳にはいきません。医師に相談すると、大抵の場合は生活習慣の改善を勧められます。でも病気で弱っている人に、そんな理想的で健康的な生活は難しい。なので100キロを一つの基準と考えてください。もしこれを上回ったのなら多少の無理をしてもダイエットに励みましょう。でもそれ以下ならば薬の副作用なんだと割り切って許容してしまいましょう。


Q. 一日中寝ている様な生活なのですが…

A. それには意味があります。脳が休みたがっているのです。なので今は全てを放棄して、存分に休ませてあげましょう。休息すべき時に、焦って何かを始めたりしない様にしてください。


Q. 病院で大量の薬を処方されているのですが…

A. 昔と違い、今は多剤処方が規制されています。なので、それがどうしても必要な場合、医師は専用の届け出を書かなければいけない事になっているのです。今、大量の薬が出ているという事は、医師がよっぽどのへなちょこであるか、あなたの症状が余程酷いか、の二択という事になります。医師にも当たりハズレがあるので、よく吟味しましょう。あと、医師とはとにかく色々な話をしてみて、信頼関係を築く事が重要ですよ。


Q. 薬を飲み忘れてしまうのですが…

A. 薬が入っていた袋や薬効が書いてある紙があるでしょう? あれに飲んだ時間を書き留めておくと飲み忘れがなくなります。簡単な記述でいいんです。それでも立派な服薬管理ですよ!


Q. なぜ、病気になってしまったのでしょう?

A. きっかけは人それぞれ違います。ですが大まかな傾向はあります。語弊を恐れずにいうと、『人間社会のクソな部分』に遭遇してしまって、自身の現実認識に疑問が生じてしまった事、が原因だと思います。あとはそれに環境の変化や疲れが重なったという事でしょうか。ちなみに『クソな出来事』というのは、古い体質の組織や集団内で頻繁に起こります。今後は出来るだけ避けましょう。


Q. 統合失調症は100人に1人がなる一般的な病気?

A. それはYESでもありNOでもあります。確率の上では確かに100人に1人の確率で発症し、全国的にはおおよそ百万人前後の患者数を誇るかなり一般的な病気ではあります。ですが、裏を返せば残りの99人は、生涯この病気とは無縁な人生を送るという事です。なので統合失調症になってしまったのは、とても運の悪い事だったと考えるべきです。


Q. 汚部屋で暮らしているのですがマズイですか?

A. マズイです。部屋が散らかっているのと片付いているのでは、精神衛生上の大きな違いがあります。部屋が散らかっていると、たったそれだけで頭の処理能力に負荷がかかり続けるのです。病気の回復に一番重要なのは休息です。私たちは出来る限り自分の頭をストレスフリーな状態にしておくよう努めなければなりません。


Q. まともな食事を用意する元気がないのですが…

A. 食事というのはマトモでなくても構いません。さすがにインスタントラーメンだけというのは避けたい所ですが、レトルトや冷凍食品は積極的に活用して良いと思います。あと『サトウのご飯』だけは常備しておいてください。決して切らさないように。食事で一番重要なのは『決められた時間に食べる』という事であり『何を食べたか』はあまり重要ではありません。


Q. コーヒーやタバコが好きすぎて困っています。

A. 統合失調症の人は嗜好品に依存しやすいです。コーヒーやタバコに対する依存も、普通の人よりずっと強いです。そしてその依存は買い物依存症や酒やギャンブルなど様々な対象へ広がりうるものです。よく注意して下さい。


Q. スマホやパソコンばかりやってしまうのはなぜですか?

A. それは家にいるからです。闘病中は自宅という限られた空間での生活になります。この生活と、社会的な活動を営む生活とでは、接する事のできる情報量に決定的な違いがあります。接する情報量が少ないと経験値が上がらず、いつまで経っても人間的なレベルアップができません。しかし統合失調症の人は早くレベルアップして病気を克服したいと無意識のうちに望んでいるものなのです。だから情報を求めてスマホやパソコンに没頭してしまうのです。


Q. 話し相手がいなくて寂しいのですが…

A. もしあたなが女性なら、デイケアや作業所などへ行く事をお勧めします。話相手ぐらいすぐに出来ますし、家にいるよりは退屈しないですみます。でも、もしあなたが男性なら、それは諦めましょう。孤独を愛する事が重要です。


Q. お風呂に入るのがとても苦痛なのですが…

A. お風呂が面倒ならシャワーだけでも良いです。それに頭を洗わなくても大丈夫です。でももし可能なら湯船に浸かりましょう。行水で良いのです。近くのスーパーで入浴剤(バブとかバスロマンとか)を買ってきて、体の緊張をほぐし、リラックスしましょう。体と心と脳は相互作用しているので、体のリラックスは心のリラックスに繋がります。


Q. 勉強したり本を読んだりするのが苦手です。

A. 統合失調症だと集中力が全く発揮できなくなります。本だと10ページ読むのですら苦痛に感じるでしょう。病気療養と勉強というのはとても相性が悪いので、いま勉強を無理にする必要はないと思います。


Q. ギターが全然弾ける様にならないんですけど…

A. それはギターだけではありません。この病気だと『技能の習得』がとても困難な状態になります。なので新しく何かを始めようとはせずに、今までできていた事の中からやりたい事を探してみる事をお勧めします。


Q. 結婚できますか?

A. 出来ます。陽性症状を治める事さえ出来れば、あとはどうにでもなります!


Q. 幸せにヘラヘラ暮らしている奴らを見ると腹が立つ!

A. 安心して下さい。そういう気持ちが起こっているのは私たち統合失調症患者だけではありません。これはメンタルの病気の人だけではなくて、体に起こった病気や身体障害で苦しんでいる人たちも、私たちと同じような気持ちで奴らを見ています。しかし『人は病の器』という言葉が表しているように、人というのは病気になりやすいものです。単に病気になるのが早かったか遅かったかの違いなんだと思えば、別に腹も立たなくなりますよ。


Q. 苦しい。詰んだ。人生終わりだ。

A. それは大きな誤解です。病気になったらそこで終わりなんて事はなくて、ここから先の人生がまだまだ長く続いて行くんです。そしてこの苦しみはずっと続くものではありません。心の傷は癒えないかもしれませんが、少なくとも病気の魔力で増幅されてしまっている分の、そのなんともいえない苦しみは、今後収束して行くはずです。病気の魔力から解放された、未来の自分に思いを馳せてみて下さい。


Q. なぜ死んじゃいけないんですか?

A. これは永遠のテーマです。統合失調症の人にとって死は常に隣り合わせです。ですが自死がどれだけ壊滅的な爪痕を残していくものなのか、一度冷静に考える必要があります。もしよかったら『WE ARE X』というドキュメンタリー映画を見てみて下さい。ロックバンド『X JAPAN』のYOSHIKIが、実の父親とバンドメンバーの死で、どれほどの苦しみを味わったのかを、私たちは知る必要があります。


Q. お金がなくてどうにもならないです。

A. 早急に障害年金を受給して下さい。統合失調症と診断されていて、かつ陽性症状に見舞われてる(見舞われていた)のなら、比較的容易に通るはずです。あと受給に負い目を感じる必要はありません。統合失調症というのはとても困難な障害です。その私たちが受給できないなら、ほかに一体誰が受給できるというのでしょうか。病気と闘うにはお金が必要です。受給は自然な事です。